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2024.04.19 行政書士法令アドバイスコラム

技能実習と特定技能の法律関係・事例

技能実習制度は、開発途上国の経済発展を担う人づくりを目的に制定され、1990年頃から今も続いております。しかし現状は、企業の人手不足の解消のために実習生が利用されていることが多く、厳しい職場環境に置かれた実習生の失踪が相次ぎ、また低賃金、長時間労働、雇用者の暴力などが問題視され、政府は今の技能実習制度を見直すと発表しました。2024年以降に技能実習制度は廃止され、それに代わる新しい在留資格が設定される見込みです。

一方、特定技能制度は人材不足の解消を目的に制定されたもので、技能実習制度とは目的が大きく異なります。特定技能には特定技能1号と特定技能2号があり、特定技能1号においては、介護、ビルクリーニング、製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関係産業)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野で就労が可能です。ただし、全ての業種で特定技能外国人を雇用できるわけではなく、事例として、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)では特定技能介護の外国人を受入れることができません。また製造3分野での特定技能外国人の雇用においては、何を製造しているかが重要であり、日本標準産業分類に基づき受入可能な産業分類が区別されています。事例として、金属加工機械に取り付けられる刃物を製造している企業は特定技能外国人を受入可能ですが、もっぱら包丁を製造する企業は特定技能外国人の受入れはできません。参考として、製造3分野において特定技能制度の対象となる産業分類一覧のURLを掲載します(https://www.sswm.go.jp/entry/classification.html)。この一覧に掲載されている産業分類に該当する事業所のみが特定技能外国人を受入れることが可能で、一覧に掲載されていない場合は受入れはできません。

特定技能1号の特徴として、以下のものがあります。
①最大で5年勤務
②転職が可能
③受入企業もしくは登録支援機関(特定技能外国人の生活面等を支援する機関)が特定技能外国人を支援

特定技能2号については2023年に制度が見直され、特定技能1号の12分野から介護分野を除いた、11分野で就労可能となりました。しかし、特定技能2号外国人になるために必要な特定技能2号評価試験の詳細はまだ公表されておらず、2024年に実施される見込みです。特定技能2号外国人の業務は、社員に指示や監督ができる水準の仕事が求められ、その点が特定技能1号と大きく異なります。

特定技能2号の特徴として、以下のものがあります。
①日本人と同様、定年まで勤務可能
②永住者や帰化の申請も可能
③家族帯同(配偶者、子)が可能
④受入企業は登録支援機関と支援委託契約を結ぶ必要がない

2023年6月末時点での特定技能1号外国人数が173,089人であるのに対し、特定技能2号外国人数は建設分野のわずか12人だけです。しかしながら今回の見直しに伴い、2024年以降は特定技能2号を希望する受入企業数が相当増加すると考えられます。また、技能実習生を雇用している受入企業は今後の新しい制度にも注視する必要があります。

私たちはそのような変化に迅速に対応していきます。外国人雇用でご相談がございましたらぜひ、外国人雇用企業相談窓口をご活用ください。

岐阜県行政書士会 業務部国際部会